圧搾法抽出の柑橘精油は危険?IFRA基準から考えるベルガプテンのこと
柑橘の精油を使うとき、よく耳にするのが「光毒性」という言葉。その中心にある成分がベルガプテンです。
ベルガモットやレモンなどの圧搾精油にはベルガプテンというフロクマリン類が含まれており、紫外線(UVA)と反応することで肌に炎症や色素沈着を起こすことがあります。
でも大切なのは、「柑橘精油は危険」という話ではないということです。
国際香粧品香料協会(IFRA)はベルガプテンの濃度を制限することで、安全に使える基準を示しています。成分を理解すれば、必要以上に怖がる必要はありません。
ベルガプテンとは?
ベルガプテンは柑橘類の果皮に含まれる天然成分で、特に圧搾法で得られた精油に残りやすい性質があります。
一方、水蒸気蒸留で得られる精油にはほとんど含まれません。ベルガプテンは紫外線に反応しやすく、肌に塗布した状態で日光を浴びると光毒性反応を起こす可能性があります。これが柑橘精油の使用時に注意が必要とされる理由です。
IFRAの15ppm基準とは
IFRAでは、洗い流さない製品における最終製品中の総ベルガプテン濃度を15ppm(0.0015%)以下に定めています。
つまり、完成した製品中のベルガプテンが0.0015%を超えなければよいという考え方です。この基準に基づいて精油の配合濃度を設計します。
精油の最大配合濃度の考え方
精油中にベルガプテンがb%含まれているとすると、製品中のベルガプテン濃度は「精油配合濃度×b%÷100」で求められます。
IFRAの上限0.0015%を守るためには、精油の最大濃度は「0.15÷b」で計算できます。ベルガプテンが多い精油ほど、配合できる量は少なくなります。
各精油ごとの安全濃度
ベルガモット(圧搾) ~0.33%
計算上の最大濃度は約0.45%です。IFRA上限は0.4%と定められており、実務では0.4%以下で設計します。
ベルガモット(FCF) ~0.009%
計算上は約16.7%まで可能です。IFRAでは光毒性制限はなく、フロクマリンを除去しているため光毒性の懸念はほぼありません。
とはいえ、精油濃度16%で使用することはあり得ないと思います…
グレープフルーツ(圧搾) ~0.02%
計算上は7.5%ですが、IFRA上限は4%です。
アロマセラピーでは精油は~2%くらいで使用するのが一般的ですが、香水などに配合する場合も4%以下にすると良いでしょう。
レモン(圧搾) ~0.035%
計算上は約4.29%ですが、IFRA上限は2%です。
マンダリン ~0.0003%
理論上は500%となり、IFRA制限はありません。実質的に光毒性の懸念はほぼありません。
ユズ(圧搾) ~0.0004%
理論上は375%となり、IFRAの特別な制限はありません。ベルガプテン含有量は非常に低いといえます。
ユズ(水蒸気蒸留) 0%
ベルガプテンを含まないため、光毒性の制限はありません。蒸留法ではベルガプテンは揮発せず精油中に残らないためです。
これらは一般的な数値であるため、実際には成分分析表を確認し、IRFA規制のない精油でもベルガプテンの含有率が高いロットに出会ったときは、15ppm以下になるように希釈をして使用することが大切です。
ひとくくりに圧搾法、水蒸気蒸留法と言っても、実はそれぞれにいろいろなやり方があります。
抽出方法によっても成分比率は変わりますので、成分分析表がない場合などは、全体の0.4%以下(ベルガモットと同様)にそろえると良いでしょう。
ちなみに、10mlのキャリオイルで精油濃度2%にする場合、精油を4滴使いますよね。
そのうち1滴を柑橘精油にすると全体の25%濃度となり、40%以下にすることができます。
なぜIFRA基準は理論値より厳しいのか
理論計算はベルガプテンのみを対象にしていますが、実際には他のフロクマリン類の存在や原料ロット差、使用部位、紫外線量の個人差なども考慮する必要があります。そのためIFRAはより保守的な上限を設定しています。実務では理論値よりIFRA基準を優先します。
まとめ
ベルガプテンは光毒性の原因成分ですが、IFRA基準(15ppm)を守れば安全に設計できます。
ベルガモット圧搾は0.4%まで、レモン圧搾は2%まで、グレープフルーツ圧搾は4%まで、FCFや蒸留精油は光毒性制限なしという違いを理解することが重要です。
不安になるのではなく成分を知ること、そして精油ごとの正しい成分分析表を見て確認をすることが安全な使用につながります。