森の香りを構成する成分「サビネン」の個性に注目
森林の香りと聞くと、まず思い浮かぶ成分としてよく知られているのがピネン類です。清涼感のあるすっきりとした印象の香りは、森林系精油の代表的な特徴のひとつです。
けれども、実際の森の香りはピネン類だけで成り立っているのではなく、いくつもの成分が重なり合うことで、森の澄んだ空気感や、深呼吸したくなるような心地よさを生み出しています。
そんな森林浴の香りを構成する成分の中で、香りの印象に個性を与えている成分が「サビネン」です。
サビネンとは?
サビネン(Sabinene)は、モノテルペン炭化水素に分類される精油成分です。揮発性が高く、精油の香りの立ち上がりをつくる成分のひとつとして知られています。
ヒノキ葉やスギ葉など、樹木の葉から得られる精油に含まれ、サビネンが主要な構成成分になっている精油もたくさんあります。
また、サビネンは樹木の葉だけに見られる成分ではありません。ジュニパーベリーやブラックペッパーなどにも含まれており、樹木らしさとスパイス感の両方に関わる成分として知られています。
サビネンの香りの特徴
サビネンは、森林や草原を思わせるややウッディな香りに、シトラスやスパイシーなニュアンスが混ざった爽快な香りを持つ成分です。
香りそのものが強く前に出るというより、精油全体の印象を整える陰の力持ち。香りの中に、葉っぱ特有のすっきりとした抜け感をつくるのが特徴です。
自然の中で深呼吸した時のような、クリーンで心地よい「森の香り」。サビネンは、その印象を支える成分のひとつなのです。
サビネンの作用
サビネンには、抗酸化作用、抗炎症作用、抗菌作用が報告されています。
抗酸化作用は、活性酸素による酸化ストレスを抑える働きです。植物は紫外線や乾燥、微生物など、さまざまな環境ストレスにさらされながら生きています。サビネンは、そうした外的環境から植物自身を守るための成分のひとつと考えられています。
抗炎症作用についても報告があり、炎症に関わる様々な物質の産生を抑える働きが示されています。
抗菌作用もサビネンの特徴のひとつです。細菌や真菌に対する抑制作用が報告されており、精油成分は植物が自らを守るために作っているということわかります。
サビネンという成分から見えてくること
精油の成分一つ一つに目を向けると、同じ樹木の葉でも香りが異なる理由が見えてきます。含まれる成分がほぼ同じでも、比率によって香りの印象ががらっと変わるのも、面白さの一つです。
精油は、香りの好みで選ぶこともできます。そのとき心地よいと感じる香りには、今の自分に必要な成分が含まれていることが多いからです。
一方で、どの精油にどんな成分が含まれているのか、その成分がどんな特徴を持っているのかを知っていると、香りの印象だけでなく、成分の視点から精油を選ぶこともできるようになります。
アロマセラピーを仕事にするなら、精油を選ぶ視点が複数あるほうが有利です。お客様に提案する精油の選び方の幅が広がると、精油の使い方も変わるし、お客様からの信頼もアップすると思います。
「ひのもとアロマ講座」では、日本の植物の特徴と精油成分の関係を体系的に学ぶことができます。
森の香りだけでなく、和精油を香りの視点、植物としての視点、成分の視点、多角的に捉えられるようになると、日本の精油を使うのが、もっと面白くなりますよ。