ボルネオールとは?ヒノキやトドマツにも含まれる森林の香り成分
精油の成分の話 2026.08.03

ボルネオールとは?ヒノキやトドマツにも含まれる森林の香り成分

森林の香りを構成する成分としては、ピネン類やサビネン、酢酸ボルニルなどがよく知られています。

今回取り上げる「ボルネオール」も、樹木の精油に含まれる香気成分のひとつです。ヒノキ木部やトドマツ、クスノキなどから得られる精油で確認され、清涼感のある香りを構成しています。

また、以前の記事で紹介した酢酸ボルニルとも深く関係する成分です。

この記事では、ボルネオールの特徴や香り、成分としての作用を紹介しながら、酢酸ボルニルとの関係や、日本の精油に含まれるボルネオールについて見ていきます。

目次

ボルネオールとは?

ボルネオール(Borneol)は、モノテルペンアルコールに分類される芳香成分です。

精油の中では香気成分として存在しますが、単離すると白い結晶になります。古くから香料などに利用され、「竜脳」と呼ばれる天然香料とも深く関係しています。

竜脳の種類やお香での使われ方については、別の記事で詳しく取り上げます。

ボルネオールは樹木だけに存在する成分ではなく、ローズマリーなどのハーブにも含まれています。植物の種類や抽出する部位によって含有量は異なり、精油によっては香りを特徴づける成分のひとつになります。

ボルネオールの香りと酢酸ボルニルとの関係

ボルネオールは、清涼感のあるシャープな香りに、ウッディでハーバルなニュアンスをあわせ持つ成分です。単離されたボルネオールは白い結晶で、その香りは鋭い樟脳調と表現されます。

鼻にすっと抜ける爽快感がありますが、清涼感だけで終わらず、樹木やハーブを思わせる落ち着いた香調が続きます。このシャープさと穏やかさの重なりが、ボルネオールの個性です。

名前のよく似た酢酸ボルニルは、ボルネオールと構造的に関係の深い成分です。ボルネオールはモノテルペンアルコール、酢酸ボルニルはモノテルペンエステルに分類されます。

植物によっては、酵素の働きによってボルネオールから酢酸ボルニルがつくられます。二つは構造につながりがありますが、香りの印象は同じではありません。

ボルネオールには樟脳調のシャープな清涼感があります。一方、酢酸ボルニルは針葉樹を思わせるウッディでハーバルな香りに、ほのかなフルーティーさを含みます。

この違いを知ると、精油の香りの違いの理由がわかり、さらに楽しくなってきます。

ボルネオールの作用

ボルネオールには、抗炎症作用、抗菌作用、鎮静作用、鎮痛作用などが知られています。

ボルネオールは、樹木が微生物や昆虫などから身を守るためにつくり出している芳香成分のひとつと考えられています。そのため、抗菌作用や抗炎症作用といった、植物の防御に関わる性質を持っていることも不思議ではありません。

抗菌作用

ボルネオールには、細菌や真菌の増殖を抑える働きがあります。

植物は、葉や幹を微生物にさらしながら生育しています。芳香成分は、植物がこうした外敵から自身を守る仕組みのひとつです。

ボルネオールの抗菌作用も、植物が環境の中で健やかに生きるために役立つ性質と考えられます。

抗炎症作用

炎症は、外からの刺激や損傷に対して生体が起こす防御反応です。ただし、この反応が強く続くと、腫れや痛みにつながります。

ボルネオールには、炎症に関わる反応を抑える働きがあります。植物が傷ついたり外敵の影響を受けたりしたときに、自らを守る性質とも関係しています。

鎮痛作用

ボルネオールには、痛みに関わる反応を穏やかにする鎮痛作用も知られています。

抗炎症作用とともに考えられることが多く、痛みやこわばりに関わる成分として古くから利用されてきました。

鎮静作用

神経の興奮を鎮め、気持ちを落ち着ける鎮静作用も、ボルネオールの特徴のひとつです。

シャープな清涼感を持つ香りでありながら、落ち着いたハーバル調もあわせ持つため、爽快感と穏やかさの両方を感じられる成分です。

このようにボルネオールは、香りを形づくるだけでなく、植物が自然の中で生きるための防御にも関わる成分です。

ボルネオールを含む日本の精油

ボルネオールは、トドマツ、ヒノキ木部、クスノキなどの精油に含まれることが分かっています。

含有量は、植物の部位や個体、産地、採取時期、蒸留条件などによって変わります。精油を成分から選ぶ場合は、商品名だけで判断せず、使用する精油の成分分析表を確認することが大切です。

トドマツ精油

トドマツの針葉から得られる精油です。

トドマツ精油には、ボルネオールや酢酸ボルニル、ピネン類、カンフェンなどが含まれています。これらの成分が重なり、北海道の針葉樹林を思わせる清々しい香りをつくります。

ボルネオールと酢酸ボルニルの両方に注目できるため、二つの成分の関係を香りから感じてみたいときにも興味深い精油です。

ヒノキ木部精油

ヒノキ木部精油は、軽やかかつ落ち着いた樹木の香りが特徴です。

ヒノキは、同じ植物でも葉と木部では含まれる成分や香りが異なります。ボルネオールはヒノキ木部精油で確認される成分のひとつで、香りの軽やにつながります。

クスノキ精油

クスノキ精油ではカンファーがよく知られていますが、ボルネオールも微量に含まれます。

香りの似たボルネオールとカンファーの両方を含む植物として、成分のつながりを考えるうえで興味深い精油です。

成分を知ることで、精油の選び方が広がる

精油の成分ひとつひとつに目を向けると、同じ樹木でも香りが異なる理由が見えてきます。含まれる成分がほぼ同じでも、その比率によって香りの印象が大きく変わるのも、精油の面白さのひとつです。

精油は、心地よいと感じる香りから選ぶことも大切ですが、植物の部位や成分の特徴、成分同士の関係を知っていると、香りだけではなく、フィジカルアプローチなどの目的に応じて精油を選ぶこともできるようになります。

アロマセラピーを仕事にするなら、精油選びの方法をいくつも持っておくと役立ちます。香りの好みから選ぶ方法、成分の作用から選ぶ方法、植物の生育環境や抽出部位から考える方法。それぞれを組み合わせることで、精油をより柔軟に使えるようになります。

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